LESSON 01
Level 0

AIに手足を与えるとは

チャットで答えるAIと、実際に作業するAIの違いを知る

難易度:入門所要時間:10最終確認日:2026-08-13対象:macOS・Windows
LEARNING GOALS

この教材でできるようになること

  • 散らかった会議メモの整理をAIに任せ、決定事項と宿題を受け取れる
  • 自分のPCで働くAIの入れ方を、AIに聞きながら進められる
  • 自分の業務でAIに任せてよい範囲と、人が確認する範囲を線引きできる
  • 取り消せない操作を見分け、実行前にAIへ説明させられる
ONE-PAGE DIAGRAM

一枚図解

やりたいことを話すと、AIが道具箱から必要な道具を選び、あなたのかわりにPCで作業するまでの3段階の流れを示した図

AIに手足を与えるとは、AIが選べる道具を用意し、その範囲だけを任せることです。「やりたいことを話す」→「AIが道具をえらぶ」→「かわりに作業する」の3段階で進みます。

LESSON

文字による講義

まずは5分、AIに手伝ってもらう

説明の前に、一度だけ体験してみましょう。用意するものはありません。下のカードには、会議中に走り書きしたようなメモと、AIへのお願い文がまとめて入っています。「コピーする」を押して、いつも使っているAIのチャット画面へ貼り、送信するだけです。

コピーして、AIへ貼るだけ(サンプルの会議メモつき)
次の会議メモを、社内で共有できる形に整理してください。

1. 決定事項
2. 宿題(誰が、いつまでに)
3. まだ決まっていないこと

専門用語は使わず、箇条書きでお願いします。

--- ここから会議メモ ---
9/3 定例 出席 田中 佐藤 山本
新パンフ 10月あたまに配りたい 印刷は前月20日締めらしい
写真 去年の使い回しでいいか 佐藤さんが確認する
値段の表記 税込に統一する件 これはOK出た
山本さん 展示会の申し込み 今週中
問い合わせフォームの返信が遅いという話 担当は未定
次回 9/17 同じ時間
--- ここまで ---

走り書きが、そのまま共有できる資料になって返ってきます。

決定事項、宿題、まだ決まっていないことの3つに分かれていれば成功です。自分のメモで試すときは、「ここから会議メモ」から下だけを差し替えてください。書き方が雑でも、AIは読み取ってくれます。

いまAIがやったのは「読んで、整えて、返す」ところまでです。ここに手足が加わると、メモのファイルをAIが自分で開き、整理して、共有用のファイルとして保存するところまで進みます。その違いを、これから見ていきます。

一言で説明

AIに手足を与えるとは、AIが文章を返すだけでなく、ファイルの読み書きや外部サービスの呼び出しなど、実際の操作を行える状態にすることです。

なぜ必要なのか

答えを受け取るだけでは、結果を人が手作業で転記する必要が残ります。さきほどの会議メモでも、返ってきた文章をあなたがコピーして資料へ貼り直す手間は残ったままです。操作までAIに任せると、その手間そのものが消えます。

身近なたとえ

チャットAIは「電話で手順を教えてくれる相談相手」、AIエージェントは「事務所に入って実際に書類を動かすアシスタント」です。どの鍵を渡すかを決めるのは、依頼する側です。

どのような仕組みか

AIは「道具(ツール)」の一覧を渡されると、その中から必要な道具を選んで呼び出します。道具の例は、ファイル操作、コマンド実行、API呼び出しです。最近は、AIと道具をつなぐ差し込み口をそろえたMCPという仕組みも広がっていて、対応した道具ならAIがそのまま使えます。名前だけ覚えておけば十分です。

AIとの関係

どの道具を渡すかが、そのまま権限設計になります。読み取りだけの道具と、書き換えられる道具を分けて渡すのが基本です。

何ができるか

資料の作成、データの転記、定期的な情報収集、通知の送信など、手順が決まっている作業を任せられます。

具体例

「先月の売上CSVを読み、部門別に集計して要約を作る」という依頼は、ファイル読み取りの道具だけで実行できます。書き換えの道具を渡す必要はありません。

あなたのPCに、AIの相棒を入れる

ここまでの話には、ひとつだけ前提があります。チャット画面のAIではなく、自分のPCの中で働くAIを入れることがスタートラインです。

さきほど会議メモを整理してくれたブラウザのAIは、あなたのPCの中を見ることも、ファイルを保存することもできません。手足を持って働いてもらうには、PCの中に住み込みで入ってもらう必要があります。この教材では、それを「相棒」と呼びます。

執筆時点では、Claude CodeやCodexのように、自分のPCの中で動いて作業まで進めてくれるものがあります(※固有ツール名は執筆時点の例示であり、特定製品の指定・推奨ではありません)。どれも月数千円のプランから始められます。まずは一番安いプランで十分です。

入れ方の手順は、ここには書きません。手順は変わりますし、調べて案内するのはAIの仕事だからです。下の文をコピーして、いつも使っているブラウザのチャットAIへ貼ってください。あなたのPCに合わせて、押す場所だけを1つずつ教えてくれます。

コピーして、ブラウザのチャットAIへ貼る(入れ方の案内)
私は非エンジニアで、PCは(WindowsまたはMac。どちらかを残してください)です。

ローカルで働くAI(例: Claude Code)を私のPCに入れたいので、公式の入れ方を調べて、1ステップずつ、専門用語なしで案内してください。各ステップで私が押す場所だけ教えてください。私が「次へ」と答えるまで、次のステップへ進まないでください。

見慣れない画面が出ても、画面の文言をそのまま貼って「これは何ですか、次はどこを押しますか」と聞けば進みます。ここであなた自身がやることは、アカウントを作ることと、プランを選んで支払うことだけです。相棒が手元に来たあとのレッスンは、すべて「その相棒に頼む」形で進みます。

注意点と次に学ぶこと

削除・送信・支払いに関わる操作は、AIの提案を人が確認してから実行します。AIに渡す情報に個人情報や機密情報が含まれないかを先に確認します。次は、AIに手元の資料を見せるための道になる「ファイル、フォルダ、パス」を学びます。

USE CASES

実際の利用例

月次レポートの下書きを作る

売上ファイルを読み取り、部門別の集計と前月比のコメントを下書きさせます。読み取りの道具だけで完結します。

資料の整理を任せる

フォルダ内の資料名と更新日を読み取り、分類案を提案させます。実際の移動は人が確認してから実行します。

HANDS-ON

AIに渡してよい道具を仕分ける

このハンズオンのゴール:自分の業務を1つ選び、読み取りだけで済む工程と、書き換えが必要な工程に分ける

契約や設定はまだ必要ありません。下の文の(業務名)だけを自分の仕事の名前に置きかえて貼れば、仕分けの表はAIが作ってくれます。

AIに任せる範囲を整理してもらう
私は非エンジニアです。(業務名)をAIに任せたいです。

工程を分解し、各工程について「読み取りだけで済むか」「書き換え・送信を伴うか」「人の確認が必要か」を表にしてください。危険度が高い工程には理由を書いてください。最後に、最初に自動化するとよい工程を1つだけ提案してください。

期待される結果

工程ごとの表と、読み取りだけで済む工程、人の確認が必要な工程の区別が示されます。

成功条件

最初に任せる工程を1つ選び、その工程に必要な道具を言葉で説明できれば成功です。

注意点

実在する顧客名、口座情報、社内の機密資料は入力しません。業務名は一般的な言葉に置き換えます。

分かりにくかったとき

「専門用語を使わず、私の業務の言葉で書き直してください」とAIへ追加で伝えます。

TROUBLESHOOTING

エラーまたは失敗例

AIが「権限がありません」と返したときは、道具の不足か、範囲外の依頼かを切り分けます。

読み取りの道具しか渡していないのに書き換えを依頼すると、AIは操作できません。このとき、すぐに広い権限を渡すのではなく、その工程を本当にAIへ任せるべきかを先に判断します。渡す道具を増やすときは、対象フォルダや対象データを限定してから増やします。判断に迷ったら、返ってきたメッセージをそのままAIへ貼り、「これは道具が足りないのか、頼み方が範囲外なのか教えて」と聞けば切り分けてくれます。

SAFETY

安全上の注意

取り消せない操作は、人の確認を挟みます。

  • 削除、送信、支払い、公開に関わる操作は、AIの提案を人が読んでから実行します。
  • AIへ渡す資料に、個人情報や取引先の機密情報が含まれていないかを先に確認します。
  • 道具は目的に必要な最小限だけを渡し、読み取り用と書き換え用を分けて管理します。

ここだけは人間がやる

AIに任せない

作業も設定もAIに任せられますが、次の5つだけはあなたが決めます。

  • アカウント作成とプランの契約、支払い — 相棒をPCへ入れるときの申し込み、プラン選び、支払い方法の登録。入れる作業そのものはAIに案内させられます。
  • どの道具を渡すか — どのフォルダやどのサービスに触らせるかは、あなたが線を引きます。
  • 取り消せない操作の承認 — 削除、送信、支払い、公開は、AIに目的と影響と戻し方を説明させてから「進めて」と答えます。
  • 秘密情報を渡さない判断 — 個人情報や取引先の機密をAIへ貼るかどうかは、あなたの判断です。
  • 最終承認 — AIが作った文書やデータを人の目で確認し、社内外へ出すかを決めます。

AIにこう聞いてみよう

AIに手足があるとどうなるか、つかめたね。次は「僕には何が任せられるの?」を、僕自身に聞いてみよう。下の文をコピーして、そのまま貼るだけでいいよ!
AIへ入力する指示
あなた(AI)は私のPCで何ができて、何に許可が要るの?

私は非エンジニアです。次の順で、専門用語なしで教えてください。
1. いまのあなたがすぐ手伝えることを、事務の仕事の言葉で5つ
2. 私の許可や設定が必要になることと、その理由
3. まず何から任せると失敗しにくいか、1つだけ提案する

答えが難しかったら「専門用語を使わず、私の仕事の言葉で書き直してください」と足してみてください。

次は、僕に資料を見せるための道「ファイル、フォルダ、パス」へ進もう。場所さえ伝われば、あとは僕が読みに行くよ!

CHECK

確認問題

問題 1 / 3 未回答

AIに社内の請求データを「集計だけ」させたい。渡す道具として最も適切なものはどれか。

AIに社内の請求データを「集計だけ」させたい。渡す道具として最も適切なものはどれか。

問題 2 / 3 未回答

AIが「この操作でフォルダを削除します」と提案した。最初に行うべきことは何か。

AIが「この操作でフォルダを削除します」と提案した。最初に行うべきことは何か。

問題 3 / 3 未回答

AIエージェントに任せる業務として、最初に選ぶのが適切なものはどれか。

AIエージェントに任せる業務として、最初に選ぶのが適切なものはどれか。
ログインすると、回答した記録がダッシュボードに残ります

ログインしなくても、確認問題には何度でも回答できます。

YOUR WORK

自分の仕事へ置き換えてみる

入力する情報、実行する時刻、結果の届け先、人が確認する場面まで書くと、仕組みを設計しやすくなります。

PROMPT CARD

実務で使えるプロンプト

AIに任せる範囲を整理してもらう
(業務名)をAIに任せたいです。工程を分解し、各工程について「読み取りだけで済むか」「書き換え・送信を伴うか」「人の確認が必要か」を表にしてください。危険度が高い工程には理由を書いてください。
クリア!
COMPLETE

学んだことを、自分の言葉で説明できそうですか?

完了を記録すると、無料アカウントの学習ダッシュボードからいつでも振り返れます。